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2008年4月18日 (金)

緊急コール

昔の話ですから、あわてないあわてない。

娘の頃に占拠していた自分の部屋ですが。

書院造の床の間のある8畳間に母親の趣味の真っ赤なカーペットを敷いていました。
やだね~。
元が、宴会用のお座敷なので有線のスピーカーとインターホンがついている。
そこに、マンガ描き用の学習机(勉強もしますけれども)と、振り返った後ろには、使わなくなった黒いソファと白い横長のデスクがあって、膠なんぞを煮ている。床柱には織りのフレーム(アンデスのインディアン式)がぶら下がっている。もちろん、高校入学の時に買ってもらったデカコンポにはエレキギターが立てかけてある。その向かいはTAMAの白いドラムセットだ。

何がしか忙しいのである。

インターホンから、緊急コール。

大体午後10時過ぎである。
「二階のトイレ片付けて!」

まったくannoyだから学生のコンパはっ!
怒っちゃいけません。同じ年頃ですけれども。
お客様は、ご不快の真っ最中なんですから。(自分のせいだけど)

バイトの女子なんかは、すくんじゃって使えないのです。
運動部系の男子はいいんですけれども。後輩を飲ませてそんな経験も豊富なのでしょう。
まぁ、宴もたけなわって時間ですから、手が足りないのは仕方ないですね。

大抵はそのままなんだかんだと、夜半過ぎまで手伝う羽目になる。バイトの子たちと夜食を食べたりするのは楽しかったけどね。バイトは卒業すれば就職しちゃうしね。自分だけ歳をとっていく感覚です。バイトのお姉さんやお兄さんから、バイトの子たちっていう目線になっていく。近年、バイトジュニアが登場しました。娘が東京の大学に進学したので、近くに住まいを決めて、ぜひ家でバイトさせてくれと、なつかしの(かつての)青年がやってきたのです。営業時間が終っても父と二人でよく飲んでいた青年です。確かに、深夜というのはじっくり話をするのにいい時間ですよね。

山のような食器の片付けにやっとめどがついた頃にはゆったりとした空気になりジェットストリームが始まります。やれやれです。

仕事帰り、接待帰りのお客さんがふらりとひとり、またひとりとカウンターに座ってきます。家に帰る前に、ワンクッションが必要なのだそうです。一家の主として、家族に向き合う、気持ちの切り替えってことなのかな。よくきいた言葉が「娘が受験でねぇ、勉強しているから」。銀行や証券会社の社宅がたくさんありましたからね。電電公社の住宅もありましたよ。広い敷地なのでよく遊びにいったものです。絶好のローラースケート場でした。

まぁ、あたしもその時々には受験生でしたけれども。
高校生の娘の料理は売り物にはなりませんから、洗い場が立ち位置なわけです。ひっきりなしに手は動いているんです。50人前ほどの和食のフルコースに使った食器類ですからね。厚手で重いんですよ。二回転する時は時間との戦いです。座敷の片付けは段取り、手順、最速で動くこと。きびきび。われながら優秀であった。指先、頭の後ろにも目を持つとはこのことよ。いずれ雇う側になるとおもえば、通らなくてはならない道だったのである。

こんな戦いが一段落したころあいにジェットストリームが流れてくるんですわ。いいでしょ。

少女といっていい年頃に、大人の男性と向き合って深夜に話をする。親子目線ですが、実際の親子がこんな風に語り合うというのはまれではないでしょうか。皿を洗っているという状況が程よく作用しているのかもしれません。実に様々なお父さん達と話をしたものです。
看板娘であるという立場をわすれずに。父と母の信用にかかわりますから。

バイト代はきっちりいただきます。あったりまえじゃん。
学生のうちは手伝うのもいやじゃなかったけどね。小遣い稼ぎだし。
外資系のメーカーで請求書係をやっていた時は、参った。週末にはぼろぼろで。翌週に着るブラウスやスーツの手入れをする深夜には、もう、自分にアイロンをかけたいくらいだった。

だからね、結婚して、専業主婦やっているわけ。ひまで、しにそう。

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